音を濁すもの

カラヤン,ベルリンフィルの弦の合奏がなぜか濁り,また,もっとも嫌いな高音のきしみさえ聞こえる.一体どうしたことか.

じつは,昨日,コの字型のサイドテーブルが入ったので,リスニングチェアの横に置き,D-Premierのリモコンを上に,パソコンを下に置いた.そして,今日,リスニングチェアの前に置いた広いテーブルを取っ払った.それだけである.ベルリンフィルの弦は本来どこまでも透き通り,滑らかで芳醇だ.それがこの濁りよう,どうしたことだろう.いささか慌てた.もういちどスピーカセッティングを見直し,計測し直した.これは問題ない.

拙システムのこれまでの経験で,音が濁るのは,(1)ケーブル間の磁場結合,(2)ラックの平行面,であった.このふたつにひどい目にあっていることは既述のとおり.

そこで気がついたのは,コの字型のサイドテーブルが持つ高さ50cmほどの上下平行面である.スピーカから離れているので気にしなかったが,試しに,リスナーに向いたコの字をリスナーの背後に向くようにした.これだけで大分よくなった.さらに,下の面上に吸収板をおいた.ほとんど濁りが取れたが,まだ若干残っている.原因はどこだ.

じつは,取り払ったテーブルにかぶせていたムートンを.再利用してリスニングチェア(新居チェア)の背もたれに掛けていた.ためしにこれを取り払ったところ,濁りが消えた.

ホログラフィックな音場を形成するには,コヒーレントな音波をゆがめてはならず,そのためには左右スピーカの周囲半径1mはクリアな空間にするべきだ,ということを以前書いたが,同じことがリスナーの両耳周辺についても言えるのだろう.ムートンの毛羽が音波のコヒーレンシーを損なっていたのである.新居チェア自体の影響はほとんどなさそうだ.

カラヤンのベルリンフィルはふたたび濁りのない分厚い芳醇さを取り戻した.そのシェラザードは何度聞いても夢の世界にいざなってくれる.書きながらついうたた寝をしてしまった.

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