Devialet Expert 1000 Pro へのパージョンアップ顛末記

 永らくご無沙汰したが、この間、いろいろあり、ちょっとした、しかし厄介な苦労の末に、やっとDevialetアンプの更新を中心としたシステム更新を行い、それが落ち着いてきたので、報告したい。

 今年3月24日、DA7Fのメルマガ(詳細)でDevialet D-Premierのハードウェアのアップバージョンが出来ることを知らされた。筐体はそのままで、中身のハードウェアをすっかり新しくしてくれる、というものである。じつは、昨年だったか、Expert Proへのバージョンアップの機会が設けられたことを知らされたが、高額でもあり、躊躇して見送っていた。しかし、今年になってからやはり気になり、再度その機会があれば連絡して欲しい旨お願いしていた。今回は、ExpertからExpert Pro へのアップバージョンがメインだが、D-Premierからも出来るとのこと。我がシステムはD-Premier Air 2台をデュアルモノとしているので、その2台を纏めてExpert 1000 Proにアップグレードできるとすれば、試みる価値があるかも知れないと考え、店長経由でDevialet社に問いあわせてもらったところ、可能だとのこと。その費用も、D-Premier一台ずつの2倍ではなく、Expert 800からExpert 1000 Proへのアップグレードの値段で出来るとのこと。Expert 800、Expert 1000 Proはいずれもマスターとスレーブ(用語を気にしてか「コンパニオン」と呼ぶ)から構成され、スレーブは、マスターにあるプレアンプ相当部分がないので、単独Expert 2台分より値段が安いのだ。さらに、DA7F経由ではなく自分でネットから直接申し込めば、中間手数料分だけ安くなる。それでもかなり高額ではあるし、手持ちのアンプを丸ごと預けることになるという一抹の不安があったが、思い切って申し込んでみることにした。

 さて、それからが想定外の思わぬことの連続で、厄介を背負い込むことになった。まず、ネットのDevialet サイトのアップグレードのページを見ると、D-Premier x 2 をExpert 1000 Pro へアップグレードする選択子がない。そこで『問いあわせ』にメールしたところ、しばらくしてからサイトが修正された。『問いあわせ』では、日本語で書いて送ったメールにきれいな日本語の返信があった。Devialetとのメールのやりとりはこれまで英語で行ってきたが、日本語でのやりとりは初めてである。問い合わせの電話番号は03で始まっているし、てっきり東京の支店とのやりとりかと思っていたら、のちに、じつはシドニーだと言うことが分かった。商品の搬送もすべてUPSに任せるなど、Devialetもグローバル化されている時代なのだ。

 次に送金方法。カードもPayPalも上限にかかってしまうため不可。そこで銀行への振込送金するしかないが、その方法がこれまた選択子になく、再びメールで『問いあわせ』。一週間近くかかってやっと東京に口座が開設され、そこに振込送金。振り込まれたことの確認にまた数日かかる。なんだか未開の地でルートを拓いていく気分だ。

 ここでやっとDevialet本社の更新対応プロジェクトがスタート。まず、搬送のためのinvoiceとUPSの荷物追跡番号を記したメールが届く。これは英文。もちろんボット作成だろう。しかしこのメールの宛先として書かれたfirst nameが私のものと違う。大丈夫か、と思っていると、追って搬送荷造り用の段ボール箱がUPS + 地元の宅配便経由で自宅に届いた。しかし、それがなんとアンプ一台分の一箱しかない!。すぐ、『問いあわせ』メール。

 二台分の段ボール箱が改めて届いたのが4月26日。なんと申し込みしてからすでに1ヶ月経っている。しかも新元号がらみで10連休があとに控えていて、UPSジャパンはその間、ずっと忠実に休みとのこと。それはともかく、D-Premier2台をパッキングしようとしたところ、サイズが合わない。どうやらExpert 200 以下のもののようだ。一箱目がきたときに確かめるべきだったが、まさかそんなことはないだろうと思い込んでいたのが間違い。そこで思い出したのが、D-Premier 2台の搬送用の箱を実は捨てずに手持ちしていたことだ。それでパッキングし、invoiceなど送られてきていた書類を付けてUPSに集荷を依頼した。最初からそうすべきだった。

翌日12時近くに集荷がきて、無事、大連休前に発送することが出来た。5月6日、Devialetからのボットメールが届き、品物が作業所に入ったとのこと。20日以内に、作業を終えそちらに届く、と書いてある。日本からパリのDevialet社まで航空便で3,4日掛かるから、どうやらUPSジャパンの10連休に拘わらず荷物は届いたようだ。到着を楽しみにして待つことにする。

 5月13日、何の前触れもなく突然アップグレードされたアンプが届いた。UPSの荷物追跡履歴で見ると、なんと9日に発送されている。中二日で作業してくれたことになる。

 以上がアップグレード顛末記。シドニーで対応してくれた『問いあわせ』担当のお二人は、本社との板挟みになりながら、実によくやってくれたが、如何せん、Devialet社の事務処理システムがひどすぎる。いかにもラテン的で、いい加減というか、鷹揚というか、考えられない手違いが多すぎた。一時は、ひょっとして詐欺に掛かっているのでは、という疑念さえ抱いた。

 しかし、終わりよければなんとやらで、肝心のExpert 1000 Proの性能はどうだろうか。ただし、正確に言うと、送られてきたものは実質的にExpert 250 Pro 2台で、それを接続してデュアルモノとして構成することになった。もちろん性能がその分良くなる、というものではない。

 Devialetの作業にまだとんでもない手違いがあるのではないか、という疑念がよぎり、なかなかテストに踏み切れなかった。じつは、今回の更新をいい機会と考え、システムのAV化を考え、テレビをスピーカ背面の壁際に設置していた。そこで、おそるおそるながら、テレビの音声出力を接続して試してみることにした。無事音が出て、まずはほっとした。オーディオ的には評判が悪いので、テレビの音声出力で使う光ディジタルケーブルを使うのは、我がオーディオ遍歴で初めてのことだ。やはり、どこか音が薄いような気がするが、もともとテレビの音声情報がそんなものなのかも知れず、よく分からない。しかし、当然ながら、テレビのスピーカ出力よりは遙かに良い。次に、USB接続。ちょっとした手違いがあり、Roonに認識されず慌てたが、落ち着いて修正し、これも無事に音出しが出来た。さて、肝心の、高額投資に見合う性能アップはあるのかどうか。もともとD-Premierはいい音がしていたし、にわかには記憶との違いが判定できない。様々なアルバムをじっくり聞き込むことにした。その話しは次回にまわしたい。

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