光ケーブルとYAGNI

 現時点での機器構成は,プレーヤがEsoteric DV-50,アンプがDevialetのD-Premier,そしてスピーカがKiso AcousticsのHB-1.それと機器を置くラック.それですべて.きわめて簡素である.近々より簡素化をすすめるべく,DV-50をCDトランスポートにして,そのディジタル出力をディジタルアンプであるD-Premierに接続しようと考えている.

現在もDV-50のディジタル出力をD-Premierに入力しているが,つい先日まで,その結合にRCA同軸ケーブルJORMA digital 1.0mを使用していた.ふと思いついて近所の電気店からToslinkケーブルVICTOR XN-110SAを買ってきて,ダメ元だと思いつつ,試聴した.JORMAの約70分の1の値段である.

なんと音がずっとよいではないか.これまで濁って汚かったオーケストラの弦の合奏がすっきりする.全体的に音の透明感が増す.

差がはっきりと聞き取れるのは,左右逆相の音を聴くときである.XLOのTest&Burn-In CDのトラック3と11を聴くと,同軸では音が左側に一斉に偏っているのが,Toslinkでは空間一杯に広がる.

この偏りは部屋の左右壁の材質と形状の相違から出るものと考え,スピーカのセッティングでなんとかごまかそうとしていたが,どうしてもうまく解消できなかった.実はその原因がコネクターケーブルにあったとは.

これに似た現象を経験している.音の圧力が右に偏っている感じがして,聴いていて不快になるので,スピーカの位置調整をしたがうまくいかない.あれこれ苦戦しているうちに,右スピーカケーブルがアンプの近くで電源ケーブルに数センチほど並行していることに気がついた.これを斜めになるように離したところ,妙な圧迫感が解消した.恐るべし磁場カップリング,である.

同軸ケーブルも電源ケーブルとスピーカケーブルからできるだけ離していたが,やはり磁場カップリングの影響があったようである.

光ケーブルは原理上,電磁場による影響は極小のはずである.たしかに,光電変換やファイバの技術が未熟だった昔は,厳しいオーディオリスニングの基準に適合しなかったかもしれないが,現在は,すくなくとも私の今回の経験では,その原理的な良さが十分発揮され,電子転送のケーブルより優れたものになっているようだ.

接続ケーブルの相互作用は思いの外大きい.機器構成をミニマルにするのは,接続ケーブルを出来るだけ少なくすることによってこの弊害を最小にしたいからでもある.機器による音の反射も有害である.必要でないものは使わないこと.オーディオの鉄則のひとつである.

ソフトウェアでいうYAGNI(You Ain't Gonna Need It !)の神である.

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