スピーカセッティングと黄金比

黄金比は無理数比なので,共振を嫌うオーディオの次元設定でよく使用される.黄金比を好むオーディオケーブルメーカーとしてCardasが有名である.そのページ,http://www.cardas.com/content.php?area=insights&content_id=26&pagestringにはスピーカセッティングに黄金比を取り入れる方法が述べられている.

私もこだわってみた.わがリスニングルームは,横が4m弱,縦が8m弱,天井高が3m弱.スピーカの後壁がコンクリート,左が二重のアルミサッシとそれをカバーするカーテン,右がモルタルとふすま,リスナーの後壁がコンクリート,床がフローリングという典型的なマンションのリビングダイニングルームである.スピーカはKiso AcousticsのHB-1.

まずは,Cardasの記事にあるように,スピーカの左右壁と後壁の相互関係に適用する.左右スピーカを並べた線上で,1:1.6:1に分割.さらに,側壁と後壁への距離比を1:1.6に設定,それにプラスして,床,スピーカのツイータとバスの中間点,天井の垂直線上が(スピーカと天井高との幸いな次元関係から)黄金分割になっている.続いて,左右スピーカ横軸線と左右スピーカ指向軸の交点との距離がスピーカとその後壁間の距離の1.6倍になるようにスピーカの向きを調整する.リスニングポイントはこの交点の前後を想定.

距離はレーザ距離計で精密に測るが,部屋の形状と材質はそれほど均質ではないから,位置はあくまでも目安である.これを出発点にして,調整を重ねる.

この部屋のサイズではリスナーの存在自体が音に大きく影響する.アンプやラックなどの機器類による反射の影響も大きい.これらを考慮した上で,各次元を出さなければ正確とは言えない.結局,位置関係での黄金比云々とは,目安以上の正確さを求めても意味がないが,されど黄金比であり,調整の出発点,基点を与えてくれる.なによりも,視覚的に美的安定感が得られる.視覚は聴覚をしばしば惑わす.

オーディオ機器のセッティングは古くて新しいテーマである.雑誌やネットでいまだ指摘されていない多くの重要なポイントがある.調整の苦労とそれにより得られた智恵をこのブログでおいおい述べていきたい.

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