二つのremoteアプリ

D-premier AirのソフトウエアバージョンアップによってiOSのアプリケーションとしてremoteが使えるようになった.要するにリモコンをiPhoneやiPadでバーチャルに行えるようにしたものである.ただし,いまのところ使えるのは,入力のセレクト,音量設定,それにミュート機能だけのようだ.ハードウエアのリモコンにないミュート機能はあるが,そ以外のたとえばモノ設定などは remoteアプリにはない.私はiTunesのリモート制御が出来るものと早とちりしていたが,的外れだった.

iTunesのリモート制御を行うにはもともとアップルが用意したremote アプリがあるので,併用してみた.iPadをアドホックネットにつなぎ,ふたつのremoteアプリを使用する.パソコンを隣室においてそれから出る雑音(熱冷ましのファンの音など)を隠し,選曲や音量制御を手元のiPadのしゃれたユーザインタフェースで行うことが出来る.一見スマートで好ましそうだが,問題があった.

なぜかiPadのremoteでiTunesの制御をすると音が悪いのだ.たとえば高橋あきのシューベルト.喜悦に震えて飛び回る右手の音を左手の低音が深々と支える.聴いていると心も体も沸き立ってくる.しかし,iPadを使用すると,その生き生きとした息づかいやどこまでも深く沈み込む奥深さがなぜか出ない.パソコン直結で聴いてからiPad経由のものを聴くと,じつにつまらない平板な演奏に聞こえてしまう.

理由は不明.まさかとは思うのだが,iPadのremoteアプリはミュージックデータをいじっているのだろうか.もしそうならば,なんのために?

なお,D-Premier Air 操作のためのremoteアプリはさすがに音に影響しない.しかし,機能が貧弱なので,わざわざ使う気にならない.

そんなわけで,いまのところ,この二つのせっかくのアプリは醜い足し算に終わっている.どちらも無料なのが救いだ.

それにしてもパソコンとD-Premierをアドホックで直結したハイレゾ音源の演奏のなんと美しいこと.一人で聴いていると,はたしてこんな贅沢を独り占めしていいものだろうか,と不遜な後ろめたささえ感じる.それはともかく,優れた演奏のハイレゾ音源がもっと豊富に出回って欲しい.それも非圧縮で.

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