アドホックネットの利用

D-Premier Airのソフトウエアがバージョンアップされたとき,アドホックネット機能があらたに追加されながらConfiguratorのバグのため使用できなかった.その後,修正され,使用可能になっていたが,遅ればせながらやっと今日になって試してみた.その報告である.

パソコン(MacBook Air)はアンプと同室の約1m離れたところに置いている.二つ離れた部屋にパソコンを移すと無線が途切れてしまう.D-Premier AirのWiFi送信は無線ルータと比べるとかなり非力なようだ.

高橋アキのショパンなどハイレゾ音源を中心に聴いてみた.全般的にノイズフロワが一段と低くなり,音の透明感と奥行きが向上した.さすがである.ルータという介在物をなくしたのだから,これも引き算美学であり,その有効性を示す好例となった.WiFiネットワークはパソコンとアンプの対だけで構成されることになり,これ以上の簡素化は考えられない.

問題も生じた.というか送り手(パソコン)と受け手(アンプ)の隔離がいかにむずかしいか,その問題がはっきり現れた.ネットワークでの接続初期に顕著に生じるのだが,パソコンの電源ケーブルをパソコン周辺で引き回すと,それがバリバリという文字通りの雑音となってスピーカから出てくる.パソコンの電源ケーブルが電磁場を乱すようだ.ただの素人推測だが,無線での両者の送受信接続が安定しないときに電波へのわずかな妨害があると,接続を調整するべく働くアンプ内の回路動作がDACないしそれ以降のアナログ回路に影響するのではないだろうか.音が(ディジタル的に破綻して)途切れるわけではないので,ディジタル回路ではなくアナログ回路に影響していることは確かだ.ひとたび接続が安定すれば,ノイズフロワのきわめて低い安定した美音が続くが,それでもごくたまに,雑音(文字通りの雑音)が出ることがある.D-Premier AirのWiFi送受信回路まわりの改良,特に他の部分からの十分な隔離が必要なのではないだろうか.

一方,これまでのルータ経由では台所で電子レンジを使うと完全に受信データが途切れたが,それが見事になくなった.自宅で電子レンジを使わなくとも,夕餉時には多分隣家で使うのか,音がしばしば途切れたが,それもなくなった.

もっと恐ろしい事象も今回経験した.あるトラックを聴いているとき,突然,かちっというような音がしたかと思うと,なんとiTunes画面上のそのトラックがコピーされて下の行に現れ,そこにプレイが移行したのである.どうしてこうなるのか,理解不能であるが,事実である.ディジタルではとんでもない障害事象が起こり得る.アンプとスピーカの保護機能が万全であることを祈るばかりである.

引き算ではなく足し算の醜学?の例をひとつ述べたい.きわめてアナログ的でオカルト的なΛ3.16 Premiumという製品がある.以前,Λ5.35という電源の電圧と電流の位相をそろえる製品を入れ,足し算のチューニングとしては珍しくうまくいったので,同じ会社のこの製品に興味があり,販売店に試聴の借用をお願いした.スピーカの前89cmのところに置くだけで音場を整えるというのだ.

たしかに音場が変わる.レゾナンスチップでさえ音場は大きく変わったのだから,この大きさと重さならば変わっても不思議ではないかも知れない.しかし,問題はその変わり方である.音場全体が前に出て,音像がくっきりと定位するのだが,どこか人工的である.すっぴんの美女が厚化粧をしたような感じがする.それも(大げさに表現すれば,だが)金粉をまき散らしたようなのだ.残響が増すのだろうか.ちょっと聴いたときにはこれはいい,と思うが,しばらく聴いていると,その賑やかさがいやみになって疲れる.やはり足し算はむずかしい.財布にとっては当然引き算なので,販売店には失礼ながら,購入は見合わせた.

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