D-Premier AIRのソフトウエアバージョンアップ

ディジタルアンプD-Premier AIRのストリーミングソフトにバグがあり,しばしばダウンすることをすでに述べた.MacではSnow Leopardならば数時間に一回くらいだが,Lionでは曲の切れ目などでほぼ毎回ダウンしてしまう.改善をお願いしていたところ,3月中頃までには改良版ができるというような返答をもらっていたが,もう5月ではないか.販売店を通して輸入元に問い合わせると,なんとバージョンアップされているという.ホームページを見ると,本体のソフトと共にたしかにストリーミングソフトもバージョンアップされている.

そこで今日,正午前に両方の新バージョンを入れ,以来,数時間ずっと試聴しているが,Lion, Snow Leopardともにダウン症状は生じていない.それだけでなくすばらしい副産物に恵まれた.音質が各段によくなったのだ.鮮明,重厚,豊穣,高速,あらゆる形容語を使いたいが,もともとクリアなD-Premierの音が全面的に一段高いところに上昇した,といえばよいだろうか.まさにソリッドな(「固い」という意味ではなく,しっかりと立体的というような意味で)音場が躍動する.こんな音の体験はこれまでではじめてだ.先日,Λ5.3をいれて音の安定感と力強さが増したが,その向上度を0.5dB程度と喩えるならば,今回は3dBだ.つまり,一桁上である.

音の構成が複雑で,重厚なオーケストラやピアノの曲はどんな高価な大型オーディオ装置でも一般に苦手とするものだ.とくにHB-1のような小型スピーカでは高望みは禁物だとして,ある程度あきらめていたが,それが違っていた.新バージョンのD-Premierは,ポリーニによるショパンだろうが,フルトベングラーの第九だろうが,その重厚なリアリティたるや,圧倒的である.音楽本来の持つ美しさを包み隠さず,裸で提供してくるので,麻薬的な魅惑を持ち.一度味わうとそこから抜け出せなくなる.危険なくらいだ.

この幸運をもたらしたのは,本体ソフトのバージョンアップか,それともストリーミングソフトのそれなのか.本体ソフトを入れ替えるとき,ディスプレイ上でAir upgradingの文字がもっとも長く表示されていたところからすると,Air関連のアップグレードによるところが大きいのではないか.いずれにせよ,上記のようになかなかバージョンアップされなかったので,Devialet社に一抹の不信感を抱いていたが,いまはその技術力に敬意を表したい.

この驚くべき音質向上で,あらためて,(ペーパーレスならぬ)プレーヤレスオーディオの将来性を確信した.なんらかのハードウエアプレーヤを含むシステムではこのようなことは決して起こりえない.ステレオのポイントは左右の音の超精密なアライメントにあるという私の臆見では,プレーヤはその阻害要因になりこそすれ,よくすることは全くないからだ.それは,磁場結合やジッタなどの電磁場空間的にも,また,物理的存在自体が劣化させる音波空間的にも言えることである.また,DACのAirによるアイソレーションも重要で,そこに至る過程がもたらす様々な悪要因を無線で遮断するからである.そこで,NASなどのストレージにある音楽データをDACに送り込む制御ソフトが純粋にシステムの音を決定づけることになる.これがストリーミングソフトだ.バグはそのタイミング制御に関係していたはずであり,そこが改善されることによって,このような劇的な音質向上が実現したのではないだろうか.

オーディオはついに,プレーヤレス,それもソフトウエアの比重がハードウェアを遙かに凌駕する新時代に入ったようだ.そうだとすれば,私にとって,今日はその記念すべき日となった.

コメント

  1. 私も「黒」の新製品を導入しました。(^^
    本社にいろいろと要望のメールを出したところ、ちゃんと返事が来ました。
    これからが楽しみなアンプ/プレイヤーですね。

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  2. 月末には、iOSデバイスから、選曲だけでなくボリュームコントロール、イコライザコントロールもできるアプリがリリースされるそうです。
    楽しみです。(^^

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