サプリの害

  パナソニックSH-X01をマックに取り付けて以来、ずっと聞き続けている。濁りが拭い去られ、まるで無垢の音の裸身を見るようだ。それに気をよくして、直接アンプDEP1000(Devialet Expert 1000 Pro)にも取り付けたらどうなるか、試したくなった。しかし、USBの差し口が狭く、しかも最近はあまり見かけないBタイプである。形状的にSH-X01の差し込みはまず無理そうだ。それに代わるものをネットで探し、使えそうなものとして、SPEC AC-USB1-KとサンワサプライAD-USB3コネクタを購入した。

 届いて早速試聴する。まず感じたのは、変わらないこと。しかし、数分後、なんだかオカシイ、と思う。あれこれソフトを変えて聴いてみるが、勢いと細部の繊細さが潰され、生き生き感が乏しい。それが気になると、次第に気分が悪くなり、10分後には耐えられず、使用を止めた。止めれば、もとの気分に戻る。こんなことを何度か繰り返した。

 次に試したのは、SH-X01をマックから外してDEP1000に付けて見ること。AD-USBコネクタを使えば、少し窮屈だが取り付けルことが出来た。まずはテレビの音声出力で聴いてみる。たまたまBS番組で録画したばかりの「ブリット」を見た。封切り時の1968年、サンフランシスコの映画館で見たものだ。それはともかく、冒頭イントロ部分の音楽が素晴らしいことに気がついた。これを試聴対象にした。SH-X01を付けるとだめなのだ。空間を切り刻むようなエッジの効いた凄みが消え、平板なつまらない音になってしまう。

 SH-X01を外し、もとのようにM1 MacBook Airに取り付ける。「ブリット」の前奏が生き返り、迫力を取り戻した。改めてSH-X01の効力を試してみたくなり、Prestoでダウンロードしたばかりのこのソフトを試聴に使ってみた。


 その効果を確認した。フルートとハープが明るく輝き、宙を舞う。なんとも幸せなMozartだ。

 このKV.299も思い入れがある。1969年帰国し、念願だったオーディオセット一式を購入した。スピーカはGoodman Axiom 301、それにパイオニアのレシーバ、テレ音作成のLPプレーヤだった。その時購入したLPの一枚がこれだった。ほとんど毎晩聴いたものだ。のちに購入したCD版をリッピングしたもののアートワークがこれである。当時のLP版と同じだと思う。CDが発売された1982年、手持ちのLPはすべて片付けてしまった。



 大分前になるが、脳内ホルモンに影響するなんとか言う薬を処方され、その副作用に悩まされたことがある。サプリとしてのオーディオアクセサリも、もちろんそれほどの酷さではないが、利くどころか返って気分を悪くするものがあるところも似ている。

 

コメント

人気の投稿