Audirvana Plus 2.0

数日前,Audirvanaのバージョンアップを知り,Audirvana Plus 2.0.1をオンラインで購入,試し聴きを繰り返している.これまでのところ,わかったことは...

(1)音質が向上した.旧版では,iTunesが使用するCoreAudioのほうが素直でよいように思え,また,コントローラとしての使いにくさもあって,Audirvanaは持っていても使うことはなかった.今回は,iTunesでのプレイと比較してその音質の優位性を感じた.なお,Audirvanaの音信号処理関連の設定は旧版のときと変えていない.アップサンプリングは弊害のほうが多いように感じられるので,無しにしている.

(2)旧版では,iTunesと統合するモードにするとiTunesのライブラリ管理機能が利用できるようになっていたが,新版は自前のものを持つようになった.しかし,それがイマイチで,不都合なことが多い.iTunesのライブラリファイルでいれてあるアートワークが必ずしも表示されない,という程度の問題は看過できるにしても,アルバム名が同一なものをすべて同一アルバムとしてまとめて表示してしまうのは困る.たとえば,バッハのブランデンブルグなど,さまざまなアーティストによるものをいくつも持っているが,これらがひとまとめになってしまい,しかもトラック番号順にソートされるので,奏者の異なる同一の楽曲が連続して並んでしまう.もともとのCDで複数のディスクから成り立つひとつのアルバムは,Audirvanaの表示で一つのアルバムのもとにディスク番号順にまとめて表示されるようになったのはよいが,昨日(itunes経由で)リッピングしたものでは,なぜかDisk 1のトラックの表示が丸ごと欠落した.データベース表示にはまだバグが多く潜んでいそうで,早急な改善が望まれる.しかし,メタデータの項目として,iTunesにはない"Conductor"や"Ensemble"などが追加されているのは,クラシックファンとしてありがたい.

自前のライブラリ管理を持つことによって,オーディオ信号処理経路が単純化され,それによる音質向上の効果があるのだろう.たしかに,音の鮮度がよくなったように感じられる.そのかわりといっては変だが,パソコンの電源切り離しとWiFiルータ止めによる音質改善の効果がよりはっきりと感じられるようになった.頭痛を招きかねない妙な圧迫感がきれいに拭われ,かなりな音量で長時間聴いていても疲れないどころか,豊かな音響空間にこのままいつまでも浸っていたい心地になる.

それにしてもライブラリ(楽曲のデータベース)表示は,iTunesを含め,どうしてこうも不適切なのだろうか.私の場合,CD換算で言えばせいぜい1500枚程度の分量しかないが,それでも目的の曲探しが不便だ.

iTunesなどが利用しているもともとのGracenoteデータベースがおかしいと言えばおかしい.そのメタデータはボランティアが入れたものだから,感謝こそすれ,文句は言えないのだが,かなりいい加減なのは事実で,不足や間違いが多い.しかし,このようなデータ蓄積を購買者のボランティア活動に任せるのはおかしな話で,本来は,製造販売業者が責任を持って行うべきものだろう.

そういう目で改めてCDを見ると,録音についての既述が極めて貧弱なCDが多い.録音年月日さえ書かれてないものもある.CDに限らず音楽データ,ビデオデータなどのきちんとしたアーカイブ化が世界的にどの程度考えられているのだろうか.

なにしろ,極めて貴重な人類の文化遺産なのだ.メモリが限りなく安価になっているにも拘わらず,肝心の残すべきデータが忘却のかなたに消えていくとすれば,取り返しの付かない愚行を人類は犯していることになる.

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