エージングは音を悪くする?

スピーカ,アンプ,ケーブルなど,オーディオ機器は一般にエージング(または,バーニング)によって音が良くなるとされる.スピーカは使えば使うほどよくなるとか,アンプやケーブルも丸一日以上バーニングしないと本当の音が聞けない,というような言葉を聞きながら,あえて疑うことなく,そう感じられられないのは自分の聴感能力が低いからではないか,と思っていた.じつは,このことを強く実感したことはこれまであまりない.わずかに,Jeff Rowlandのアンプを使っていたとき,電源を入れてからしばらく経った方が音がいいように感じたことがあったくらいだ,にもかかわらず,この「常識」を深く疑うことはなかった.

しかし,昨日まで,数日間もぶっ通しで演奏し続けるという,破天荒な耐久レース試験を繰り返して,気がついた.演奏を続けると,どうも音が次第に悪くなってくるようなのだ.気がつくと,平板で,躍動感に欠け,輝きが消えている.我がシステムがこんな詰まらない音がするはずはない,と思った.この劣化に最初に気がついたのは,Gergievの「くるみ割り人形」だった.正常ならば,広い舞台でバレニーナたちの舞い姿が目に見えるようなのに,そんな気配は消えてしまった.そこで,試しに数時間以上,演奏を休止してみた.再び始めると,なんと見違えるようにもとの輝きと清新さが蘇るではないか.

D-Premierアンプはスイッチング電源なので,もともと火入れで暖めてどうのこうの,という話には無関係だから,このアンプとバーニングとは関係ないだろうとは思っていた.また,HB-1は,筐体を振動させるという,スピーカとしてはほとんど禁じ手を使っているので,長時間,連続して使用すると,筐体の疲労?があるのかもしれない.パソコン関連のディジタル部分の処理は,もともと経時変化とは関連しない.それやこれやで,我がシステムは特殊なのかもしれないが,エージングないしバーニング効果の一般常識は通用しないばかりか,かえって逆効果を持つようだ.

オーディオの一般常識を盲信してはならない一例がまた現れた.

コメント

人気の投稿