Devialet AIRの現状

Devialet社のディジタルアンプ D-Premier AIRを使い始めて約1週間が過ぎた.パソコンのデータをWiFiでアンプに送ると,アンプ内でパケットを再編成してDA変換し,スピーカに送り込む,という情報変換回数が最小の,ある意味で理想的なオーディオ方式を実現している.実際,音は透明で,音の立ち上がりや余韻の非常にデリケートな部分にいたるまで鮮明かつ緻密に再現されるので,奏者の息づかい,血潮まで感じとることができる.

Devialet AIR(Asynchronous Intelligent Route)というのは,パソコンの音源ファイルのデータをWiFiに送り出すアプリケーションソフトである.「お好きなメディアプレーヤ」が使える,というようなことがホームページの説明に書いてあるが,今のところは,iTunesだけのようである.iTunesでファイルを開くとそのデータは指定された出力機器に出力されるはずであるが,Devialet AIRを稼働していると,そのディジタルデータを読み取ってWiFi(無線LAN)に送り出す(らしい).それだけでなく,アンプから出される信号をWiFiで受けて,パケットを順繰りに送り出すようコントロールする(らしい).つまりストリーミングである.送り込まれたパケットはアンプのなかでマスタークロックを使って再編成されDA変換されるから,ジッタ歪みが生じるとすればこの部分だけとなる.ホームページで誇っているように,この方式は設計上からもっともジッタが少なくできる方式だ,ということになる.

PCオーディオやネットオーディオの雑誌の記事によると,リッピングソフトは再生音に関係しないが,データの読み出し再生ソフトは大いに関係する,と書かれている.さらに,Macの場合には,iTunesによる再生より音を良くするという再生ソフト,たとえばAudirvanaなどが紹介され,使用が薦められている.私もAudirvanaを試して見たが,いまのDevialet AIRでは使用できなかった.実際,ホームページの記事の注に,Devialet AIRを使えばAmarra や PureMusicはもはや役立たない,と書いてある.再生ソフトのデータ読み出しは,ECCその他によって,通常は100%正確に行われるはずで,そこに音への影響は生じない.音に影響するのは時間軸上の問題だけになり,Devialet AIRの場合は,パケットの再編(時間調整を伴う)はアンプのDACに入る前で行われるから,その意味では,たしかに,再生ソフトを変えてみても意味のないことになる.しかし,これらのソフトは,音源フォーマットの対応その他で,iTunesにない機能を多数持っているから,それらを試して見たい場合には,やはり一般によく使われる再生ソフトが使えることが望ましい.

いまのDevialet AIRで最大の問題は,じつはその安定性である.電波障害などで音が途切れるのは仕方ないとしても,このプログラム自体が良く落ちるのだ.輸入元ではそういうクレームはこれまで聞いたことがない,とのこと.しかし,二台のMac Book AIr(OS10.6,とOS10.7)で試しているが,どちらも落ちる.特に10.7では,平均走行時間は30分弱である.10.7は4時間程度.ソフトにバグはつきものとはいえ,これほど落ちやすいソフトは近頃珍しい.はやく修繕して欲しいものだ.

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