オーディオルームと機器設定

インターネットが普及しだした20年以上前からオーディオとオーディオセッティングを論じるフォーラムやサイトを見てきたが,最近知ったページ "Setting up your monitoring environment" には共感,同意するところが多い.

まず部屋の音響環境について.低音の残響を取るためにスピーカ背後のコーナーにトラップを置くべきだ,というのは多分その通りだと思うが,推奨されているASCのものなどトラップを持っていないので試せない.しかし,わが環境ではもともとHB-1はエネルギーの大きい低音を出さないせいか,それほど悪影響を感じない.

高音では一次反射の除去を述べていて,それが大事であるけれど中途半端なものを使うとかえって害が大きい,といっている.気になって,(一次反射するところではないが)スピーカ背後の横壁に掛けた音響吸収板(arte pyramid)を取り除いてみた.すると,反響音が賑やかで失敗.もともとわが部屋は,左側壁はガラスのサッシにレースのカーテンを掛け,右側壁は和室のふすまと廊下なので,どちらも一次反射は少ない.スピーカ背後のコーナーに近い側壁は固い壁だから,そこでの反射は何度も繰り返されて,それを取らなければひどい反響音を作り出してしまうのだろう.

次に,スピーカの位置.George Cardasの黄金比が紹介されてはいるものの,具体的設定例では3分の1説を採っている.しかし,厳密に3分の1比にすると反射波で整数比が生じるので,これには疑問が残る.スピーカの向きをリスナー後壁の中心に向けるようtoe_inするのがよい,という説ははじめて知り,早速試したところ,たしかにステレオイメージがより鮮明になった.これは収穫.

ケーブルについて.電源ケーブルとスピーカケーブルないし信号ケーブルを近くに並行して走らせてはいけない,と述べている.その通り.磁場結合による悪影響をこれまでいやと言うほど知らされた.先日,ディジタル信号線で同軸よりも光ファイバのほうがよい,と書いたが,実は,同軸ケーブルが電源ケーブルに並んでいたからで,これを直したところ,やはり光ファイバよりもこちらのよかったので,いまは同軸を使用している.値段だけのことはある.

固体振動について.seismic vibrationと呼ぶ低周波の固体振動の除去を指摘している.そのためにローラーベアリングあるいは空気のフッタを推奨している.そういえば,以前,磁石で浮き上がらせる設置台を使ったことがある.確かに見た目には固体振動を絶縁しているように見えるが,実は磁力でつながっているから絶縁にはならない.しかもこの強力磁場がオーディオ電子機器に悪影響を及ぼさないはずがない.それに気がつき,大枚10万円以上を無駄にして使用を止めた.ローラーベアリングや空気をスピーカのフッタに使用すると,たしかに固体振動は除去するだろうけれど,横運動を押さえることが出来ず,歯切れを悪くしてしまうのではないか.これも疑問.

このようにいくつか疑問が残るものの,考え方全体には共感できる.そういう記事は雑誌でもネットでも意外にないものである.

この記事はプロの録音技術者が録音モニタシステムのあり方について述べたもの.ということは,これらの注意点が必ずしもモニタで実行されていない,ということなのだろうか.とすれば,彼らは一体どんな音をモニタして音を作っているのだろう.これが残された最大の疑問.

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