VIERA TH65GZ2000を入れて ー 音がもっと良ければ

 4K、65インチ、有機ELテレビ Viera TH65GZ2000。予定通り発注から2ヶ月を経て、やっと先月末、我が家に入った。インターネット配信を受ける set top box はApple TV 4Kにした。録画用に6T のハードディスク I/O データHDCZ-UT6KC を使用し、パナソニックの普及型Blu-rayプレーヤを前システムから引き継いだ。こうして我がAVシステムはもひとつアップグレードして、μJPS 4.0 となった。バージョン番号を 3.1 とするつもりだったが、モニタ部分が圧倒的に良くなったので、あえて、4.0 とした。


μJPS 4.0 映像はKirill Petrenkoとベルリン・フィル(DCHから)

  GZ2000の映像は、期待に違わず優れた画質で、高精細のみならず、色調と陰影の精妙さが見事である。焦点ボケの精密な描写が3次元的遠近感をもたらし、ごく自然な立体感が生まれる。特にNHKのBS4K放送が素晴らしい。65インチの窓の向こうにもひとつのリアルな世界が見えるかのようだ。五感をごまかし無理矢理作り上げるいわゆるVirtual Realityは、昔から感心しないが、4K、有機ELが見せてくれるこの世界こそ Virtual Reality というべきではないか。

 インターネット配信で思わぬ儲けものになったのが、ベルリン・フィルのDCH(Digital Concert Hall).。10年ほど前からストリーミングされているとは聞いていたが、現在は4Kで送られるとは知らなかった。わずかな料金で見放題だから、ほとんど毎日のように楽しんでいる。NetflixやApple TV+などの映像配信は、私にとっては魅力あるコンテントがまだ見受けられず、お預けにしている。

 Blu-RayとDVDをいくつかプレーヤで見たが、4K放送の高画質を見た目からすると、画質はシャープさに劣り、平板。ソースの善し悪しを如実に映し出すようだ。UHD版はまだ見ていない。

 さて、問題は音質だ。受像機組み込みのオーディオシステムへの出力と、外部音声ディジタル出力との切り替えがなく、単純に両方に出力されるため、Devialetアンプ以下の外部オーディオシステムでのみ音を聞くには、受像機音声のヴォリュームをゼロか消音にするよりほかない。厄介なことに音声がドルビーまたはDTSだけのディスクさえある。それをうっかりDevialet以下の外部システムに流そうものなら、スピーカから盛大なノイズ音が響く仕儀となる。GZ2000は22.2チャンネルのドルビー音声が可能らしいが、私には全くの無駄というか、厄介な機能で、これ見よがしの不自然な加工が耐えがたいものに思われる。一方、PCM出力されるものも、もとがロッシーのAACなので、高音質は期待しにくい。さらに以前から指摘してきた 光ケーブルのS/PDIF経由の問題がある。

 NHK BS3の番組「クラシック倶楽部」で放送されたバッハ『2声のインヴェンション』他の Angela Hewitt による演奏(2017年)をUSB HDに録画したものと、手持ちのRoonライブラリにあるCD録音版(1994年〕とを比較してみた。23年も経てるし、ピアノも異なるので、厳密な比較試聴とはとてもいえないが、総合的な違いははっきり認められた。さらに、やはりHewittのバッハ『パルティータ』のCD録音(2018年〕を聞き、その違いをより強く感じさせられた。映像を消して聞き比べると、違いがよく分かる(脚注参照)。AV版の音は、繊細な響きが潰れ、平板で生硬、深みと膨らみに欠ける。ノイズがあるというのではなく、歪みが強い感じだ。聞き続けると、聞き疲れする。放送だけでなく、Apple TV 4K経由のストリーミングも同じこと。ディスクでの聞き比べはまだしていないが、もとがAACならば期待は出来ない。AVメディア全体でもっと音に気を使ってくれることを願うほかない。

 とはいうものの、AVでわざわざ映像を消して音だけ聴くという物好きやへそ曲がりはそうはいないだろうし、実際、映像とともに聴く音は、圧倒的な視覚情報の補完役になり下がりがちだ。しかし、ピュアオーディオを追い求めてきたものとしては、ドルビー、DTS、多チャンネルなど作りもの技術にばかり精を出さずに、自然な無垢の音を追求する志向があってしかるべきではないか、と思うのだ。そうすれば、AVメディアはより肥沃な世界に発展するだろう。映像はすでにこれほど高度に進化を遂げているのだから。

 現行AVの音声についての私の要望は単純だ。(1)ハイレゾ、ロスレスのPCMフォーマット、(2)USB出力。これだけである。

 最後に、GZ2000操作システムのバグ、というか不具合がいくつか気になったので、順不同で記しておきたい。


1.電源オンオフ
 リモコンで切ったあと1、2秒でまた入ってしまうことがある。

2.録画
 月ー金録画しているNHK Eテレ クラシック倶楽部が録画表の「すべて」に載らない。「未録」と「音楽」には載る。と思ったが、実は、〔日が違っても〕同じ番組の録画は一行に纏めて表示され、そのために前に録画したものに隠されていて見えなかっただけ、ということが分かった。この欄を選択表示すると、複数の同一番組が表示されて、はじめてそれが分かる。これは紛らわしいし、わかりにくい。一番新しいものを一番上に重ねて置く、というイメージで表示すべきだろう。一方、NHK教育テレビの「テレビ体操」を連日録画しているが、なぜか時々、全く同じ時間のものが二つ録画されることがある。ソフトのバグか。

3.番組表
 CSの欄に紛れ込んだら、受信契約をするかしないかを問われ、「いいえ」とすると、前の画面が出て再度問われる。いくら「戻る」ボタンを押しても脱出できなくなり、まるで蟻地獄のよう。

4.スマホアプリ TV Remote 2
  •  「フルモード」の「リモコン」でBS4Kチャネルの選択が出来ない。
  •  「シンプルモード」は簡略化しすぎ。例えば、視聴済みの録画が見られない。
  •  「タッチパッド」は、スワイプのコントロールが上手くいかず、事実上使えない。
  •  「電源」をオンにする機能がないため、リモコンが手放せない。

5.リモコン
 録画再生で字幕オフにも拘わらず字幕が出ることがある。再度設定しなおしてもだめ。一覧表に戻ってから呼び返すと消える。


 蛇足。2万円のキャッシュバックを楽しみにしていたが、なかなか来ないので、改めてサイトを見直したところ、申込の2ヶ月後とのこと。また2ヶ月? 待ちましょう。



〔脚注〕
 聞き比べの手順は次のとおり。テレビの「節電試聴」で映像を消す。録画版を再生し、音を聴く。次にスマホのRoonアプリで選択しておいた曲の再生アイコン▶をタップし、Roonからの音を流す。再び録画版の音声に切り替えるにはDevialetのリモコンで入力切り替え操作をする。これを何回も繰り返していたら、さすがのRoonがダウンした。初めてのことだ
 

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