SAM化されたKiso Acoustic HB-1

久しぶりにDevialetのサイトを覗いたところ,Kiso Acoustic HB-1がSAMの対象スピーカになっていることを知った.HB-1は世界的に見ればマイナーな機種だろうから,SMA化の実現性はあまり期待しなかったものも,ずっと心待ちしていた.さて,効果のほどは?

バージョンアップされたファームウェアをダウンロードしてインストールした後,HB-1のSAMパラメータを組み入れたConfigurationをダウンロードし,SDカードに入れた.

さっそく試聴をはじめた.アンプを起動すると,そのディスプレイにHB-1の字が現れる.試聴を続け,早くも数週間過ぎたが,これまでのところ,期待は裏切られていない,どころか,すごい.Wow! だ.

予想されたことだが,低音の充実がやはりもっとも聞き取りやすい違いだ.SAMなしのHB-1は,畏友K君に指摘されたとおり,小型スピーカの宿命で低音が不足していたようだ.充実した低音性能のせいか,全体的に重心が下がり,深々とした重層性のある音響空間が形成され,明晰さとリアリティがさらに増した.

多様なジャンルのいろいろな曲を聞いたが,たとえば,バッハ,マタイ受難曲でその良さがよく分かった.Karl Richter, Masaaki Suzuki, Philippe Herrewerghe, それにKlempererのCDをiTunesライブラリに入れてあったが.これまで宝の持ち腐れであまり聴いたことがなかった.音の混濁感がどうしても気になり,落ち着けなかったからだ.しかし,今回はちがう.透明で,重厚,鮮明な音響空間が広々と展開し,おもわず引き込まれてしまう.視覚的には何もないのに,器楽奏者と歌手,合唱団が幻想的に,しかし,はっきりと目の前に立ち現れ,輝き,ドラマが展開する.これこそ異次元空間の体験というべきだろう.

なお,HB-1のSAM化で低音がかえって薄くなった,という意見を聞いた.自分の耳にそれほど自信の持てない私は,ひょっとしてただの思い込みによる気のせいだったのか,と反省し,SAMなしのConfigrationに差し替えて聞き比べたが,どうしてもそうは思えない.なぜこうも真逆の受け取り方があるのか,いまもってよく分からない.リスニング環境の違いによるものなのだろうか.それとも単なる主観の違いなのだろうか.やはりオーディオは不思議で,謎めいたところがある.

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