白銀比によるスピーカ配置,輸入オーディオショー,そしてiPhone5

我がリスニングルームは大略,下図のようになっている.ここで,部屋の正面壁の幅は約4m,図中の長さ は約1.65mである.じつはスピーカの配置には黄金比を使うのがよいと考えてきたが,どうも白銀比の方がよいのではないかといまは考えている.白銀比とは1:√2(数学の正統派では1:1+√2)である.JISのAタイプの紙のアスペクト比などがその例で,広く用いられている.黄金比と同様,一種の美感を持つ.黄金比では横壁との距離が約0.613Lとなり,すこし壁よりになってその影響を受けやすい.また,両スピーカが広がりすぎて,見た目の安定感がやや損なわれる.



スピーカの内振りは概ね60度になるようにしているが,その角度よりもむしろ2等辺三角形にすることが重要で,その精度をあげるよう努めている.スピーカのバッフルにレーザ距離計の底辺をあて,そこからリスナーポジション前の一点への距離がミリ単位で等しくするよう,スピーカの内振り角度を変えて微調整した.これがわずかでもずれると左右位相の食い違いとなって,とくに高音の左右バランスをゆがめてしまう.昔のカメラの手動での焦点調整のように,ぴたりとあうととたんに音場が明晰かつ豊かになる.この調整作業はしつこいくらい繰り返し行った.

さて,黄金比の配置と比べて,音はどうか.音場のひろがりと明晰さで白銀比に軍配をあげたい.躍動感,実在感も優れている.

この音に耳をなじませ,しっかり記憶して,輸入オーディオショーに出かけた,十数年振りである.オーディオラックをスピーカの間に置くなど,あいかわらず無造作な配置がされていたり,ホーンの歪みがいたたまれないくらいひどい高級スピーカがあったり,昔とあまり変わりない.そのなかにあって,Air Force Oneというすごい名前のLPプレーヤには驚かされた.たしかに現代のディジタルオーディオでは聞けない不思議なエネルギーに満ちた音空間が出現していた.

最近,これまで食わず嫌いでやり過ごしていたスマホを手に入れた.評判のiPhone5である.Siriや音声入力の能力は想像以上であった.さっそくこれで二つのRemoteアプリ(Devialet社のとiTunesのと)を試してみた.Devialet Remoteは音量制御だけで,音質を落とすことはないが,iTunesのRemoteはiPadのときと同様,やはりなぜか音を劣化させる.この比較で気をつけなければならないのは,iTunesのミュージックライブラリにある曲をiTunes本体(パソコン側)から起動した場合と,iPhoneのRemoteで起動した場合と比較しないと意味がないということである.iTunesで起動した曲に対しiPhoneで停止,再開,次曲への移動などの制御ができるが,その場合は単に制御する信号をアンプに送るだけで,音質への影響はないようだ.しかし,iPhoneで起動した曲については,それをiTunes本体側で制御するしないに関わらず,音はなぜか劣化する.理由はわからない.

なお,オーディオに直接関係しないが,iPhone5で,Kindleというアプリを使えばKindleのオンラインブックが読めることを知った.画面が小さいのは仕方ないが,文字の視認性がよく,Kindle Whitepaperより読みやすい.主として洋書を読む小生にとって,単語の長押しで辞書が表示されるのもありがたい.iPhoneはいわば知的エイドとして,いつのまにか片時も手放せない存在になりつつある.むかし,スカリーが夢に描いたIntelligent Navigatorの実現にちょっと近づいたか.

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